専門書ながら飼い主さんにもおすすめしたい!【猫を極める本】

ルーニー
今回は【猫を極める本】を紹介するよ


ポポ
タイトルに偽りなしの本よ♪
愛する猫のために暮らしをよくするためのもっともっと知識がほしい。
そんな向上心あふれる飼い主さんにおすすめしたいのが、今回ご紹介する【猫を極める本】。
なんとこちらは、動物医療スタッフ向け、いわゆるプロ仕様の本なのです。
この本がすごいのは、プロ向けでありながら、一般の飼い主さんにも通用するほどわかりやすく、かみ砕かれているところ。
専門書ではありますが、こんな良書を放っておく手はありません!
では、どんな本なのかさっそく見ていきましょう!
こんな方におすすめ
  • 猫に関する幅広いテーマの本が読みたい
  • 専門的な知識が欲しい

目次

猫を極める本(interzoo)

著者は、獣医師の服部幸さん。

獣医師のあいだでは、猫の専門病院の先生として有名な方です

 

服部先生の経歴をざっとご紹介しますと、大学卒業後に猫専門病院の分院長を務めたあと渡米され、猫専門病院Alamo Feline Health Centerにて研修プログラムを終了。

2012年に東京猫医療センターを開院され、現在に至ります。

 

今回ご紹介する【猫を極める本】以外にも、飼い主さん向けの本の執筆・監修をされているので、ご存じの方も多いかもしれないですね。

 

ちなみに、東京猫医療センターは国際猫医学会からアジアで2件目となるキャットフレンドリークリニックのゴールドレベルに認定されている、すごい動物病院なのです。

猫を生態から病気まで解説

【猫を極める本】は、序章と第1~8章の全9章から構成されています。

序章 キャットフレンドリーな動物病院とは

第1章 猫特有の解剖・生理・薬理

第2章 猫を理解する

第3章 猫と飼い主とのコミュニケーション・猫の行動学

第4章 猫の保定法と診察・検査

第5章 猫の栄養学

第6章 子猫の予防医療

第7章 猫の入院管理と猫がなりやすい病気

第8章 高齢猫と健康診断

猫を極める本

序章 キャットフレンドリーな動物病院とは

序章では、「猫にやさしい動物病院とは?」がテーマ。
猫が安心して受診できるようにするための動物病院の環境、動物病院スタッフの注意すべき行動などについて説明がされています。
ですから、飼い主さんの立場からすると直接的には関係ない内容に感じるかもしれませんが、動物病院に行ったときにこの章に書かれているようなことが実践されていたら、「この動物病院は猫への意識が高い!」とわかる指標になるので、知っておいて損はない内容なのではないでしょうか。

 

第1章 猫特有の解剖・生理・薬理

第1章は猫の基本的な体のつくりをお勉強する章です。

獣医学的な専門用語は出てきますが、文章自体は堅苦しくないやさしい言葉で書かれているので、飼い主さんでも問題なく読める内容になっています。

 

この章のなかでは、

「人用の薬剤・サプリメントで特に注意するべきもの」

「猫の投薬法」

のコーナーが飼い主さんの役に立つのではないでしょうか。

 

投薬法については、薬のタイプ(錠剤・カプセル、粉剤、液剤、点眼剤)ごとにそれぞれが写真付きで解説されているので、わかりやすくていいですね。

第2章 猫を理解する

第2章は、猫の品種と品種ごとのかかりやすい病気、毛色、猫の社会構造からみる飼育が解説されています。
「猫をもう1匹飼いたくなったけど、大丈夫かな?」と悩む飼い主さんは多いのですが、そんな方には「猫を増やすとき」という項目が参考になりそうです。

第3章 猫と飼い主とのコミュニケーション・猫の行動学

第3章で扱われるのは、次のテーマ。

・病院までの移動と帰宅時の注意点
・コミュニケーションのコツ・猫本来の行動からみた動物病院のあり方
・猫の行動を知る
・猫のストレス要因
・よくある問題行動(不適切な排泄・攻撃行動)
猫の姿勢、表情によるコミュニケーションサインや、ストレスの原因、粗相や攻撃行動。
どれも猫と飼い主がお互いに気持ちよく生活するためには知っておきたい知識です。
この章は、生活に密着した内容ばかりですので、ぜひぜひよく読んでいただくことをおすすめします。
実は私が飼い主さんからの相談を受けたときに、この章をよく参考にさせてもらっています。

第4章 猫の保定法と診察・検査

第4章は動物病院での猫の保定法(押さえ方)、診察や診察の方法についてです。
飼い主さんには直接的に関係ない内容かもしれませんが、「病院ではこんなことをしてるんだなぁ」と眺めていただくといいかもしれません。

第5章 猫の栄養学

第5章は、猫の栄養と食事がテーマとなっております。

栄養学的な基礎内容から、市販のフードの選び方、食事をあげるときのコツなどが説明されています。

飼い主さんとしてはやはり健康のために食事は気になることと思いますので、興味深い章なのではないでしょうか。

 

個人的な感覚ですが、犬と比べて猫は食に関して好みにこだわりがあったり、ちょっとしたことで食欲をなくしたりというケースが少なくなく、飼い主さんを悩ませているように思います。

そんなときに、この本にあるような知識があれば、そんな猫様の困った食事問題を解決する糸口がつかめるかもしれません。

第6章 子猫の予防医療

第6章は、子猫に特化した章となっております。

健康管理のチェックポイント、食事や排泄、ワクチンや駆虫などの予防医療について解説されています。

子猫とこれから暮らしてみたいと考えている方は、一読いただくとよいでしょう。

第7章 猫の入院管理と猫がなりやすい病気

第7章は、病気とその管理に関する章です。

いよいよ動物病院スタッフ向けの内容という感じですが、猫がなりやすい病気については飼い主さんにもぜひ読んでいただきたいところです。

 

この本では、猫がなりやすい病気として、

・慢性腎臓病

・甲状腺機能亢進症

・糖尿病

・尿路結石症(尿石)

・猫伝染性腹膜炎(FIP)

・リンパ腫

が取り上げられています。

 

病気の概要、診断、治療法がそれぞれ解説されています。

医学色の強い内容ではありますが、激しい手術シーンなどの写真もないので、おそらく飼い主さんが見ても気持ちが悪くなることはないと思います。(もしご気分が悪くなったら申し訳ありません)

病気の概要や治療法をざっくり知っておくと、いざ愛猫が病気にかかったときに戸惑いや不安が減りますので、軽く目を通してみてはいかがでしょうか。

第8章 高齢猫と健康診断

第8章は、高齢猫の特徴、注意点やかかりやすい病気、歯磨きなどが説明されています。

かわいい猫もやがては年をとり、最期のときを迎えます。

短い章ではありますが、できるだけ長く猫が気持ちよく過ごせるように読んでおきたい内容となっています。

おすすめポイント① 専門家向けでありながらわかりやすい

【猫を極める本】は、動物医療スタッフ向けの本でいわゆる専門書です。

ですが、一般的な言葉遣い、わかりやすい言い回し、必要最低限の専門用語なので、ついつい専門書というのを忘れてしまうぐらいと~ってもわかりやすいです。

 

獣医師向けの専門書だと文章が固くて読むのに疲れてしまうものが多数なのですが、この本はそんなこともなく、一般の飼い主さん向けの本のようにスイスイと読むことができました。

 

もしかすると、多少の専門用語が出てくるのでそこでつまずいてしまいそうになるかもしれませんが、あまり気にせずどんどん読み進んでいただくのがいいと思います。

 

また、動物病院スタッフ向けなので、「飼い主さんにはこうアドバイスせよ」みたいな内容が出てきますが、そこは温かい目でスルーしていただきたいです。

おすすめポイント② 写真、イラスト、獣医学データが豊富

繰り返しになりますが、この本は動物病院スタッフ向け、いわゆるプロ向けです。

ですから、獣医学データがふんだんに盛り込まれています。

 

一例ですが、こんなことが載っています。


・血液検査、尿検査、X線検査、超音波検査などの項目や数値の見方

・駆虫薬のメーカー別の種類

・ワクチンのメーカー別の種類

・ライフステージ別のキャットフードの栄養基準

・消毒薬の適応微生物と取り扱い注意点

・病気に使われる治療薬

 

また、カラーのイラストに加え、エコーやレントゲン、血液、保定のような医療系も含めた写真も多く取り入れられています。

 

なかなか一般向けの本ではここまでの内容は載っていないですよね。

やさしく書かれてはいても、やはり専門書という感じです。

 

この本が手元にあれば、いざ猫が病気になって動物病院にかかったときに読み直すと、獣医師の話や治療について理解しやすくなるのことでしょう。

まとめ

いかがだったでしょうか?

【猫を極める本】は、専門書でありながら、飼い主さんでも読むことができる猫について体系的にまとまった一冊です。

 

これまでに飼育本を何冊か読んできてある程度の知識がある猫飼いレベル中堅以上の方でも、きっと参考になることと思います。

 

専門書ですので、値段を見ると「うっ…」とためらうかもしれませんが、一般書にはないもう一歩進んだ知識を求める方にはおすすめできる本です。


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