ペットとの毎日は穏やかで気分よく過ごしたいものですが、ペットが病気になったり、年齢を重ねてくると心配事や悩みが増えてきます。
職場や散歩先での知り合いに話をするという方も多いと思いますが、ペットのことを理解されない環境や相談相手がいないというケースも。
私の経験では、ちょっとした悩みであれば雑談として話はできるものの、悩みが重くなるほど誰かに相談しづらく、抱え込んでしまっているという方も少なくないようです。
今回は、そのような不安や心配を抱えている時に、ゆっくりと自分の内面を見つめ、悩みを客観視することでストレスを解消するテクニックの『筆記開示』をご紹介します。
筆記開示とは
『筆記開示』は、1980年代に生まれた心理療法の一種で、ストレスとうまく付き合うための手法として注目されています。
方法は簡単で、感情をひたすら紙に書き出すというもの。
こんな単純なことで効果があるのかと疑問を持たれる方もいると思いますが、筆記開示を行うと、数週間~数か月で鬱や不安の感情が減り、感情の波が穏やかになるだけではなく、幸福感の高まりや認知機能(脳の処理機能)の改善することが数々の研究で証明されています。
近年では、不安対策の方法としてたびたびメディアでも取り上げているので、ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんね。
筆記開示の方法と注意点
用意するもの
用意するものは、紙とペンで十分です。
パソコンやスマホの方が得意という方はそれでも構いません。
自分と向き合うためのものですので、ひとに見られないようなものがいいでしょう。
方法
心に浮かぶ感情、出来事を思いつくままに書き出します。
まずは気になっているネガティブなことから書き始めます。
経験、感情、思考を包み隠さずに綴っていきます。
誤字脱字、字が汚い、文章がきちんとしていないなどは気にせず、ひたすら書きなぐりましょう!
時間的、心的に余裕があるならば、そこから一歩進んでポジティブな感情や事柄も書くと〇。
マイナスな気持ちを書き出すことも大切ですが、プラスのことも併せて書くことで、「毎日は悪いことばかりではない」ということが認識することができます。
ポイント&注意点
やり方はいたって簡単な筆記開示方ですが、ポイントと注意点がいくつかあります。
①最初の4日間は連続して行う
効果を得るには、最初は4日間連続で行うことが望ましいとされています。
以降は毎日行うのが理想的ですが、難しい場合は自分のペースで続けるとよいでしょう。
筆記開示を習慣化するために、行う時間を決めておくのがよいとされています。
おすすめは、仕事終わりか寝る前。
落ち着いて取り組める時間帯を自分自身の生活から見つけるのがポイントです。
②最低8分間は書き続ける
当初の研究結果では20分間書き続けることが必要とされていましたが、その後の研究で8分間でも同様の効果があることが分かっています。
忙しい方も8分程度であれば続けられそうですね。
③悩みを展開する
悩みを人生の他の分野とリンクさせることで、より深く自分の感情や悩みの原因について考えを深めることができます。
たとえば、家庭、仕事、人間関係、過去・未来とリンクさせ、それに及ぼす影響も書き出してみましょう。
リンクさせることで視野が広がり、対処法を見出せることもあります。
④過去へのネガティブ感情は取り扱い注意!
これまで「ネガティブなことを書き出す」とサラリと言ってきましたが、ネガティブは扱いを気をつけないと大変なことになります。
筆記開示に向いているのは、将来・未来に関する悩み、不安、心配のようなネガティブなこと。
過去のような今更どうしようもないことに対するグチ、後悔、怒りを書き連ねると、嫌なことに対する記憶を強めてしまい、かえって悪影響を及ぼすと危惧する声もあります。
まとめ
筆記開示、いかがでしたでしょうか。
誰かに相談するのが難しいとき、自分のなかで思考がまとまらず不安な時に使える心理学的なテクニックです。
特にペットのことを全部打ち明けて相談する相手はなかなか見つからないもの。
そのような時にご自分自身と向き合い、ペットと前向きに暮らすために筆記開示をしてみてはいかがでしょうか。