ペットと暮らしていると楽しいことがいっぱいですよね。
でもそれと同時に不安や心配もたくさん出てきます。
この不安や心配というネガティブな感情が暴走し、場合によっては悪影響を及ぼすことがあります。
今回はこのネガティブな感情について考えてみたいと思います。
ネガティブな感情の暴走は原始のなごり
不安、心配、恐怖というネガティブな感情は危険回避のためにあると言われています。
原始時代の人間は常に危険にさらされていました。
24時間危険から身を守らなくてはいけない状況では、ネガティブな感情は人が生き残るために重要なスキルであったといえるでしょう。
社会が発達し、安全性が高まった現代では、突然敵が襲ってくるようなことはほぼ起こらなくなりました。
それにも関わらず、脳はそれほど進化を遂げず、原始時代と同じレベルで作動しています。
その結果、あまり心配しなくてもいい状況でも、心配や不安というネガティブな感情が過剰に起こってしまうことがあるのです。
身を守るためのネガティブな感情も過剰になると悪影響
ネガティブな感情に振り回されてしまうとどのようなことが起こるのでしょうか。
ペットの具合が悪くなったときのことを考えてみましょう。
そのとき、どのようなことをしていますか?
思い出してみてください。
動物病院にまず行く、というのが一般的だと思います。
ここまでは、ネガティブな感情は正しく働いているといえるでしょう。
しかし、次のようになってくるとやや心配です。
・動物病院が信頼できずに、あちこちで受診をする
・科学的根拠のない商品を買う
・いかがわしい情報に頼る
不安や心配な気持ちを抱えているときには、藁をもすがる思いでなんでも試してみたくなるものです。
また、そのような状態のときには、いかがわしい商品や情報ほど甘くやさしい言葉で訴えかけてくるので、実に魅力的に映ります。
通常の思考モードであれば「胡散臭い」と判断できるようなことでも、過剰なネガティブモードでは「これは本物だ!」と思ってしまうのが恐いところです。
私の経験としても、飼い主さんが焦りや不安を抱えているときほど、「○○を試してみたい」、「○○ということがネットに出ていたけれどどうなのか」と相談を受けることが多いです。
ペットを心配する気持ちはわかりますが、何事も行き過ぎると悪い方向に進んでしまいます。
いかがわしい商品や情報に振り回され、かえってペットに不利益になるようでは本末転倒ですから、よくよく注意をしなくてはなりません。
心配や不安な気持ちが湧いたら、とりあえず落ち着こう
不安や心配な気持ちが出てくるのは脳の自然な働きです。
身を守るための大切な働きであり、脳の構造上、止めることは難しいでしょう。
しかし、ときにその働きが過剰になってしまうのは、先ほど書いた通りです。
「あぁ、脳が働きすぎているためにすごく不安なんだな」とわかれば、人間は少しは落ち着けるものです。
ネガティブな感情に駆られて、闇雲に情報を漁ったり、怪しいものに手を出したりするのは危険です。
冷静に判断することがペットを守ることにつながります。
もしペットのことで強く心配な気持ちや不安が高まったときには、この脳の特性を思い出しはいかがでしょうか。