ペットと暮らしているとお世話になるのが動物病院。
病気やケガなどで困っているときに行く場所なので、信頼し安心して通いたいものですが、なかなか現実的にはそうでないことが多いようです。
私が飼い主さんからちょくちょく聞く話として、「動物病院で質問ができない」ということが気になったので、原因を考えてみました。
目次
質問が思い浮かばない
「診察室で獣医師を前にしていると質問ができない」という人がいます。
確かに、獣医師、動物看護師、飼い主、ペットがあの狭い空間にいるという状態は、どこか緊張感を生み出します。
しかし、質問ができないという理由は単なる緊張からだけではなく、他にもこのような原因があるのではないでしょうか。
①質問は気の利いたことでなくてはいけない
②こんなことを聞くのは恥ずかしい
③そもそも何を質問したらいいのかわからない
このようなことが原因で質問をしないのはもったいないという理由を詳しく見ていきましょう。
気の利いたことでなくていい
質問するならば、有意義な質問をしたいですよね。
えぇ、わかります。
ですが、あらかじめ色々頭の中で練る時間があったうえで質問ができればいいのですが、動物病院を訪れているときは、「診察・検査→獣医師の説明→飼い主の質問」という流れが一般的です。
獣医師の説明を聞いて、理解したうえで、質問をしなければならないわけです。
こんな短い時間で、気の利いた質問なんてできるわけがありません。
むしろできる人のほうが凄すぎます。
そう開き直ってしまって、気軽に質問すればいいのです。
素朴な疑問でいい
気の利いたことを言わなくてはいけないというプレッシャーとも関連しているのですが、小さなふとした疑問は聞きづらいものです。
ですが、それも遠慮することはありません。
大きかろうと、小さかろうと、疑問は疑問。
放っておくのはよろしくありません。
小さな疑問がしこりとなって、後々大きな疑問に変わり、獣医師や動物病院に対する不信に変わることさえあります。
心に浮かんだ、小さく素朴な疑問も思い切ってぶつけてみましょう。
獣医師がさらっと使ってしまう専門用語や省略語についてなど、なんでも聞いていいのです。
そもそも獣医師の話を理解できている?
獣医師は説明責任があると考えていますから、検査結果や診断結果について必死に話をします。
疑問があれば飼い主さんから聞かれると思っており、質問がないと飼い主さんは理解しているものとして話を進めていきます。
しかし、質問をするにも、ある程度の理解が必要です。
チンプンカンプンな場合には、何をどこから聞いていいのか、それすらもわからずお手上げになってしまうわけです。
気の利く獣医師であれば、途中でこまめに質問・疑問がないかを確認してくれますが、そういう獣医師ばかりではないですからね。
獣医師は説明に重きをおいていますので、たくさんしゃべるパターンが多いのですが、話の途中で理解ができなくなったら、遠慮なく口を挟んで、質問を投げかけてしまいましょう。
最後までとにかく話を聞いてから質問をするという手もありますが、途中から話がサッパリ理解できないと疑問すら思い浮かばなくなってしまいます。
話の腰を折ってしまうかもしれませんが、思い切って質問を投げかけるほうがいいのではないでしょうか。
比較的口数が少ない獣医師で、説明が短く、よく話が理解できない場合も、バンバン質問して構いません。
獣医師に遠慮をしている
人間の医師ほどではありませんが、獣医師も一応「先生」と呼ばれる職業で、どことなく遠慮がはたらく飼い主さんが多いようです。
獣医師と飼い主はチーム
獣医師・動物看護師などの動物医療スタッフや飼い主は、「ペットの健康を守るためのチーム」の一員であり、それぞれの役割が違うだけのことだと私は考えています。
確かに、獣医療知識については獣医師の方が詳しく、形式上は「先生」と呼ばれる立場にあるかもしれません。
しかし、「獣医師が上、飼い主が下」ではありません。
飼い主さんからの情報や協力があってこそ、適切な医療が提供できるのであり、獣医師と飼い主は対等ともいえるのです。
ですから、獣医師に遠慮をする必要はありません。
ペットの健康を守る目的のために共同体制にあるチームですから、しっかりと疑問は解決し、お互いに信頼関係を築くことが大切です。
苦手なタイプの獣医師の場合
飼い主は人なり。獣医師もまた人なり。
ですから、どうしても人間同士の相性というものがあり、「この先生、腕はいいんだけど、態度が…」という場合も少なくありません。
この場合、人間的な部分と獣医師としての技量を天秤にかけることになるわけですが、どちらが勝るかは飼い主さん次第です。
いくら腕がよい先生でも、診察時の話し方・態度が横柄で通いたいくない、ということはままあることです。
腕はいいので診てもらいたいけど、質問がしづらいというケースでは、動物看護師を通して質問するという手もあります。
獣医師よりも動物看護師のほうが飼い主とのコミュニケーションに力を入れていることが多いです。
ですから、獣医師とのコミュニケーションが難しい場合には、飼い主の気持ちや要望を汲みとってくれる動物看護師を院内で探すというのもありかもしれません。
もし大きい動物病院で獣医師が複数人いるような場合には、思い切って担当を変えてもらうという方法もあります。
受付で申し出れば変えてもらえるはずですが、担当チェンジを申し出るのは、遠慮がちな人にはハードルが高いかもしれません。
そのようなときには、かかりつけの動物病院のホームページに獣医師の出勤表が出ていないかを確認してみてください。
そして、「今担当している獣医師が休みの日にあえて行く」ようにすれば、必然的に違う獣医師が診察することになりますので、相性のよい獣医師に当たるまで繰り返すことができます。
ただし、持病があり継続的に通っている場合、この方法を使うと経過の観察や診断などに影響が出てしまいますので、安易には行わないほうがよいでしょう。
要望でもいい
もし質問が思い浮かばないのであれば、要望を伝えるのでも構いません。
飼い主からの意見、要望がないケースでは、獣医師の主導により治療が進んでいきます。
飼い主と獣医師が同じ方向を向いているのであれば何の問題もないのですが、目指している方向に違いがあると、後味の悪い結果になることもあります。
「こんなはずではなかった」という悲劇を生まないためにも、「自分たちはこうしたい」という意見は是非とも伝えましょう。
まとめ
動物病院スタッフと飼い主はペットの健康を守るためのチームです。
コミュニケーションをスムーズに取れるよう、お互いに信頼関係を築いていきたいものですね。