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ペットを飼いはじめるタイムリミットは?

自分の人生でいつまでペットと暮らせるかを考えたことはありますか?

 

よくあるのが、

「今は仕事が忙しいから、定年退職したらペットを飼いたい」

「子供に手がかかるから、子育てが落ち着いたらペットを飼ってみたい」

という話です。

 

確かに、私たちの毎日は仕事に、家事に、子育てにと忙しいですよね。

ですが、「いつか」と思っていたら、それは自分が想像していたよりも時すでに遅しという可能性があるのです。

ペットを飼うときに考えたい3つの寿命

ヒトの平均寿命

世界No.1の長寿国という称号を与えられているせいか、私たち日本人は平均寿命が大好きな民族ではないでしょうか。

人生の残された時間を考えるときに、自分の今の年齢と平均寿命を物差しにして考えることもよくあるかと思います。

では、よく人生の物差しになる『平均寿命』とは一体何なのでしょうか。

 

平均寿命とは「0歳における平均余命」のことで、2019(令和元)年の平均寿命は男性81.41歳、女性87.45歳です。

 

その年に「おぎゃー」と生まれた赤ちゃんが平均であと何年生きていられるかを表した数字ということになりますね。

ヒトの健康寿命

一方で、平均寿命とは別に『健康寿命』という考え方があるのをご存じでしょうか。

 

健康寿命とは、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のことをいい、2019(令和元)年の健康寿命は男性72.68歳、女性75.38歳となっています。

 

簡単に言うと、健康寿命とは日常を元気に楽しく過ごせるタイムリミットのことです。

健康寿命を超えると、健康上のトラブルが原因で日常生活に何らかの支障が出てくるようになるということですね。

 

男性は約73歳、女性で約75歳。

 

想像しているよりも若くないですか?

日本は長寿大国といわれて久しいですが、元気でいられる年齢は思っているほどではない。

75歳を過ぎると体に何らかの不具合があり、そのせいで生活に問題を抱えているのが日本の高齢者のリアルな姿です

ペットの平均寿命

愛しい愛しいペットにも寿命はあります。

 

ペット保険の大手企業であるアニコムがペットに関する統計をとって毎年発表しているのですが、2023年度版『アニコム 家庭どうぶつ白書』によると、

犬の平均寿命は14.2歳

猫の平均寿命は14.7歳

となっています。

 

10歳くらいから体にトラブルが出だし、次第に動物病院にお世話になる頻度が高くなり、やがて闘病や介護を経て15歳前後で亡くなるというのが一般的です。

実際に私が診てきたコたちも、それくらいの年齢で亡くなるケースは確かに多いです。

定年後にペットを飼いはじめるとどうなるか

冒頭であげたケースのように、定年後の65歳で子犬か子猫を飼いはじめたとしましょう。

 

可愛い子犬や子猫たちはすくすく育ち、定年後の日々を楽しく彩ってくれることでしょう。

やがて月日が経ち、彼らが旅立つころには、気がつけば飼い主自身は80歳。

生活に支障がないタイムリミットである健康寿命を5年ほど過ぎています。

 

もしペットが平均寿命よりも長生きしたらどうでなるでしょう?

 

健康寿命を過ぎればすぎるほど体に不調が増え、その程度も大きくなっていくのが一般的です。

自分自身の体の不具合を抱えながら、ペットの世話をするというのは容易なことではありません

 

ペットが元気なうちはまだいいのですが、介護や通院が必要になったとき、自分の健康状態では面倒をみきれないという事態に陥ってしまうかもしれません。

 

猫や小型犬などの小さなペットならなんとかなっても、中型犬以上の大きさになると若い人でも通院や介護などは負担が大きく、ましてや高齢者では世話ができないことも起こりえます。

 

ルーニー
うちの近所にも、犬の散歩が大変そうなおばあちゃんがいるよ

ポポ
犬はまだ若そうだし、これからがさらに心配…

飼えなくなったら子どもに頼めばいい?

もし飼えなくなったら子どもなどの身内が引き取ってくれると考える方もいるかと思いますが、現実はそう甘くないようです。

 

動物愛護センターの職員さんから聞いた話だと、「親が飼っていたペットを自分は飼えないから引き取ってほしい」という依頼や相談は少なくないとのことでした。

 

ペットを飼いはじめるときに口約束をしていたとしても、それから10年以上も経てば子ども側の事情も変わります。

そうなってしまうと、結局かわいそうな思いをするのはペットです。

 

少し希望があるとすれば、最近では高齢者のペット飼育支援活動が少しずつ広がりをみせています。

ペット信託や終生飼養施設などがその一例です。

 

お金に余裕のある方ならサービスの検討をしてみてはいかかでしょうか。

ペットを飼いはじめるタイムリミットはいつ?

これまで見てきたように、ヒトの健康寿命は75歳、ペットの平均寿命は15歳です。
そこから逆算して何歳がペットを新たに飼いはじめられるラストチャンスかを計算してみます。
75歳-15歳=60歳
子猫や子犬を家に迎えられるタイムリミットは、遅くとも60歳ということになります。

 

高齢者がペットと暮らすメリットは重々承知のうえで、かつ高齢者とペットが楽しく過ごせる仕組みがあればと思う身ではありますが、甘い見込みからペットを不幸にすることだけは避けねばならないと私は考えています。

 

ペット信託や終生飼養施設などのサービスを活用できないのであれば、ペットの長生きリスクを踏まえると、新たに子犬や子猫を迎えるのはできれば55歳くらいまでに留めておくのがよいかと思います。

 

ポポ
平均寿命ではなく、健康寿命で考えるのがポイントね

『DIE WITH ZERO』を意識せよ

繰り返しになりますが、元気に生活を楽しむことができるのは平均で75歳までです。

私たちが真に意識するべきは、平均寿命ではなく健康寿命なのです。

更にいえばこの数字も平均なので、もっと早くから健康を損ねてしまう人もたくさんいて、もしかしたら自分もそうなるかもしれない可能性から目を背けてはいけないでしょう。

 

『DIE WITH ZERO』という本が一世を風靡したのですが、このなかに私がこれはと思った内容があります。

まだ本を読んだことがないという方のためにざっくりと内容を説明すると、「人生の楽しみを先延ばしにしすぎないで生きるためのルール」を書いた本というところでしょうか。

 

この本は、人生を立ち止まって考えるヒントが詰まっているので、老若男女におすすめです!

『DIE WITH ZERO』のなかに出てくるルールはどれも大事ですが、特に『ルール7₋やりたいことの「賞味期限」を意識する』は慌ただしい日々のなかで私たちが忘れがちなルールだと思いました。

 

寿命がどんどん延び、私たちはいつまでも何でもできる気がしてしまいますが、それは勘違いでしかなく、最後のチャンスを意識しないうちに逃しているかもしれないのです。

 

特にペットを飼うというのは、命を預かるという責任の重い行為です。
自分一人だけの問題ではありません。
ですから、一般的な物事よりもよりシビアにその期限を意識する必要があります

 

ある程度歳のいっている犬猫や、寿命が短い動物を迎えるという選択肢もありますが、いずれにしても動物と暮らせる残り時間を無視することはできないのです。

 

いつまでも動物たちと楽しく暮らしたいのはやまやまですが、現実的に突き詰めると、自分の責任において動物と暮らせる時間は想像よりも長くありません。

 

甘い見込みからペットを飼いはじめるのは絶対にいけません。

 

私たちがペットと暮らせる時間には限りがあるのです。

まとめ

「人生100年時代が来ている」というパワーワードが巷では飛びかっていますが、ペットを飼うことに関しては自分の年齢を甘く考えてはいけません。

日本人の健康寿命やペットの長寿化を考えると、私たちが新たにペットを迎え入れられるタイムリミットは想像以上に早いのです。

 

余談ですが、この『アニコム 家庭どうぶつ白書』は興味深いデータがたくさん載っています。

 

時間があるときにご覧ください。

 

『アニコム 家庭どうぶつ白書』のサイトに移動する

 

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