- ペットの医療について疑問や関心がある
- ペットやヒトについての死生観を改めて考えたい
- 養老先生、近藤先生のファン!
ねこバカ いぬバカ(小学館)
【ねこバカ いぬバカ】は、養老孟司さんと近藤誠さんのお2人による対談本です。
養老孟子さんは、言わずと知れた医学博士、解剖学者。
軽妙な語り口で書籍、メディアで活躍されている重鎮の先生です。
一方の近藤誠さんも医学博士です。
「がんもどき」というキーワードでピンとくる方が多いのではないでしょうか。
「がんは治療しない」、「がんの放置主義」スタイルで一躍話題となり、著作も多数ある先生です。
ペットの高齢化から考える生物の生老病死
【ねこバカ いぬバカ】は、片や研究色が強い解剖学者、片やがん治療の現場に携わった医者という、専門性の異なる2人の医療者から見るペットの医療・死生にまつわる対談集です。
医療者といっても一般的なタイプではなく、それぞれ個性の強い先生方なのですが、
・動物が好き
・医療者でありながら、積極的な医療には否定的
という共通点があります。
そのような共通の価値観を持った先生方が、動物との思い出に始まり、ヒトやペットとの医療の関わり、高齢化問題について、忌憚なき会話を繰り広げていきます。
どちらも医学界では有名な方ですが、ペットを通すことで意外な一面があることが知れて、面白いです。
テーマ自体はやや重めですが、対話形式なので、さらっと読み進めることができると思います。
個人的な感想
個人的感想としては、「いろいろな考え方があるよね」という感じでしょうか。
この本の中では、健康診断や治療などの医療が否定的にとらえられています。
私自身もむやみやたらな手術や投薬には疑問を感じるタイプだと自認してはいるのですが、「まったく何もしない」のをよしとするわけではありません。
その都度バランスを見ながら、積極的な医療行為を選ぶのがよし、逆に医療のメリットが少ないと判断されれば控えてみるのもよし、と白黒ニ極ではなく、グレーの中を行ったり来たりしながら考えます。
そのような立場からすると、養老先生と近藤先生のお話はかなり偏ったもののように感じるのですが、そのような考え方をする人がいてもそれはそれでいいのだとも思います。
自分の価値観を考えるきっかけに
本の中で、
養老 結局、治療をしてもしなくても、飼い主は後悔するでしょ。
近藤 獣医に言われるまま治療をしたけど死んじゃったとか、かわいそうだから安楽死させたけどよかったのかとか……。そういう気持ちは理解できますけど、最期にくよくよ悩んだり、後悔したりするのはよくないから、飼い主自身が自分の考えをしっかりと持つことですね。
ねこバカ いぬバカ
【ねこバカ いぬバカ】を読むことで、どちらの立場の飼い主さんも改めて
「ペットの医療に臨むものは何か」
「自分のペットに対する死生観はどのようなものか」
を考えるきっかけになるのではないでしょうか。
まとめ
【ねこバカ いぬバカ】は、ヒト並みの医療が求められ日々進化し続ける動物医療への考え方に一石を投じる本であると思います。
動物医療の在り方やペットへの医療をどこまで行うのかと悩んでいる方は、新たな視点を得られるのではないでしょうか。
ご興味があれば、お手に取ってみてはいかがでしょうか。