今回ご紹介する本【災害にあったペットを救え】は、東日本大震災をきっかけに、災害時にペットの救助にあたる獣医療チームづくりを決意した獣医師たちの物語です。
- VMATについて知りたい
- 災害時のペットとの避難について考えたい
- 災害時の動物の被災対策に関心がある
災害にあったペットを救え(小峰書店)
多様で複雑な、数々の問題をかかえている現代社会。そうした問題にたちむかう人々の姿を、定評ある児童文学作家たちが描きだすノンフィクションです。地球温暖化で危機にひんするライチョウを守る鳥類学者、イスラームへの偏見をなくそうと奮闘する日本人信徒、被災したペットに医療をとどける獣医師たち……。子どもたちがいまという時代を見つめ、よりよい未来の姿を考えるきっかけとなるシリーズです。
VMAT結成に奮闘する獣医師たちの物語
【災害にあったペットを救え】で紹介されるVMATは、2011年に起きた未曽有の災害である東日本大震災がきっかけとなって発足しました。
地震、津波、そして原発事故により、ひとだけではなく、多くの動物たちも被害を受けたことを記憶してらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
当時、福島県双葉郡富岡町で動物病院を経営していた渡辺正道先生。
神奈川県横浜市で学会に出席していた船津敏弘先生。
それぞれが被災した動物たちの命を救うために奔走するところから、物語は始まります。
混乱する現場の支援活動をとおして、船津先生は悩み続けます。
災害という緊急事態において、獣医師として何ができるのであろうか。
そして思いついたのが、
VMATとは?
VMATとは、Veterinary Medical Assistance Teamの略号。
発音するときは、「ブイマット」と読みます。
直訳すると獣医療支援チームという意味ですが、「災害派遣獣医療チーム」と日本では呼ばれています。
VMATについては、大阪VMATのホームページにわかりやすくまとめられていたので、引用します。
獣医師、動物看護師、動物トレーナー、トリマーなど1チーム4〜5名で構成され、大規模災害や多くの傷病動物が発生した事故などの現場に、急性期(おおむね48 時間以内)に活動できる機動性を持った、専門的な訓練を受けた獣医療チームのことです。
災害時には人命救助を妨げない範囲で、初期の動物の保護・救出にあたるとともに、災害状況の情報収集を行います。
また、避難所やシェルターにおける動物の健康管理及び人間と動物の関係を円滑にすることを主な任務とします。
阪神大震災、東日本大震災などでは、ペットをはじめとした多くの動物たちの命が失われました。
この悲しい経験を教訓に、全国にVMATのような災害時の動物救助の活動が少しずつでも広がっていくことを願うばかりです。
まとめ
災害大国の日本では、災害は対岸の火事ではありません。
【災害にあったペットを救え】を読んで、あらためて一人の獣医師として、飼い主として災害時に何ができるだろうかと考えさせられました。
【災害にあったペットを救え】は、VMATの結成から活動を知ることで、ペットも含めた防災について考えるきっかけとなる本です。
ぜひ親子で読んで、我が家の対策について話し合っていただきたいと思います。