ゆるく長く生活に取り入れたい、ひとや動物、環境にやさしいエシカルの教科書【はじめてのエシカル】

エシカルって知ってる?

ポポ
何、それ? おいしいの?

いやいや、食べ物じゃないのよ

 

もともとは「倫理的」、「道徳的」という意味なんだけど、
やさしい言葉で言い換えると
「私たちの良心と結びついていて、人や社会、環境に配慮されている」
ということなんだって

ポポ

なるほど!

 

初めて聞いたけど、何だか良さそうなことね

 

食べられないのは残念だけど!

興味が出てきた?

 

じゃあ、早速勉強してみようか

豊かで忙しい日本では『暮らし』というものが注目されることはあまりないのではないでしょうか。
衣食住が揃っているのは当たり前のことで、意識することはなくいつでも手に入るからです。
普段使ったり、食べたり、着たりしているものは一体どこからやってくるのでしょうか。
当然のことながら、世界の誰かが作り運んでくれているからこそ、私たちはその豊かさを享受していられるのです。
しかし、もし私たちが受け取っている豊かさが誰かのつらい労働や犠牲のもとに成り立っているとしたら、どうしたらよいのでしょう。
そのような私たちの日常からは見えない「壁」の向こうに思いを馳せ、消費のあり方を考えて、実行しようというのがエシカル消費です。
ところが、いざエシカルな暮らしをしようといっても、「なんだかハードルが高くて自分には無理」と考えるは私だけではないと思います。
そのような方におすすめなのが、今回ご紹介する【はじめてのエシカル】です。


こんな方におすすめ
  • エシカルについて知りたい
  • 働く人や環境にやさしい暮らしについて興味がある
  • どうやったらエシカル消費ができるかわからない

目次

はじめてのエシカル(山川出版社)

元ミステリーハンター、アナウンサー

著者はテレビ番組『世界ふしぎ発見!』のミステリーハンターとして活躍し、現在は司会、レポーターとマルチにお仕事をされている末吉里花さん。

仕事で世界を回ったり、旅行を通したりする中で知った過酷な環境で働く人々のこと。

何か自分にもできることはないかと考えた末に『エシカル』を人々に広める活動をしようと、一般社団法人エシカル協会を立ち上げられました。

エシカルな暮らしは高くて無理?

以前、「フェアトレードの洋服やアクセサリーでも買ってみようかな」と軽い気持ちでインターネットを検索したら、手の出せないお値段で挫折した思い出があります。
それ以降、フェアトレード商品から遠ざかっていた私なのですが、この【はじめてのエシカル】を読んで勇気づけられました。
というのも、フェアトレード商品を買うだけがエシカル消費ではないとわかったからです。
本の中で紹介されていて、「あ、これ、いつも自分がやってることだ!」と思ったことを挙げてみます。
・商品を選ぶときにオーガニックコットンのものにする
・食品は近所の個人商店で買う
・輸入品の野菜や果物よりは、地元で生産されたものを選ぶ
・今持っている洋服を大切に、長く使う
・リサイクルショップを活用する
「環境にいいことをしよう」、「世の中のためになることをしなくては」と考えるととかく大げさになり、結局のところ何をしていいかわからなかったり、実行できずに挫折してしまったり、という結果になりがちです。
そうではなくて、「身近なところ」から「できること」を「楽しく」行うことが大切だと末吉さんは説きます。
日本人らしい「もったいない」や「おかげさま」な暮らしをしていればそれは無理なく、自然にエシカルな消費。
一人一人は小さくとも少しずつ社会が変わる「一歩」になることがわかり、今、自分ができる範囲で続けていけばよいのだと自信が湧いてきました。
巻末には、エシカルショッピング・ガイドも掲載されているので、自分の手の届くお店を探すのも面白そうです。

エシカルは動物も救う

世界の野生動物が住む環境を破壊する原因の一つに、パーム油があります。

パーム油と聞いてあまりピンとはきませんが、身近なお菓子やパンなどの食品、化粧品、シャンプーなどの日用品によく使われています。
このパーム油を生産するために熱帯雨林が伐採され、オランウータンやトラ、ゾウが棲み処を追われているのです。
野生動物の保護活動に興味がある方もいらっしゃると思いますが、私たちが活動に直接携わるというのは難しい面があります。
しかし、エシカルな消費で保護活動の手伝いができるのであればどうでしょう。
例えば、環境に配慮した製品を作る企業のものを選んで買うというのでも立派な活動になるのです。
これならば、今日からでも私たち一人一人が取り組むことができますよね。
本の中では、サラヤの『ヤシノミ洗剤』が紹介されています。


 

 

洗浄力も強く、手にも優しい洗剤ということでいうことなしですね。

我が家も今の洗剤がなくなったら、こちらを試してみたいと思います。

他にも、食卓にのぼる魚やニワトリなどの家畜、実験に使われる動物たちのことが紹介されています。

「壁」の向こうを見る力

末吉さんは学校でエシカルについての授業を行っています。

その際には、身近な衣類であるTシャツがどこでどのように作られるかがテーマ。

綿を育てている人、洋服を仕立てる人の様子を写真やデータを使いながら子供たちに話をしていきます。

自分たちと変わらないような年齢の子供たちも労働をしているという見えない現実。

それに驚き、ショックを受ける子どもたちに末吉さんはこう伝えるそうです。

 

この大きな壁の向こうにある、見えないものを見ようとする力を持ってほしいと。

はじめてのエシカル

 

大きな壁とは、「Tシャツを着ている私たち」と「作っているくれている人々」との間にあるものです。
私たちは安くかつ品質がそこそこのものを大量消費することが良しとされる社会に生きています。
その欲望が叶えられる裏には、このような現実があることを大人が知るというのがまず第一歩。
それと同時にこれからを生きていき、未来をつくる子供たちにも伝える、考えさせる、見る力を身につけさせるのは大事なのではないでしょうか。

まとめ

どこかで聞いたことがあるけれど、一体どんなことかよくわからないし、何をしたらいいのかわからない「エシカル」。
そんな疑問にやさしく答えながら、無理をせずに続けることが大事だと励ましてくれる一冊です。
自分も、ものを作る人も、環境も、動物もが少しでも気持ちよく過ごせるように、ゆるく長く生活に取り入れていきたいと思います。


おすすめのコラム