- 猫に関する幅広いテーマの本が読みたい
- 堅苦しい本は苦手
- 猫のイラストや写真集が好き
猫のための家庭の医学(山と渓谷社)
著者は、獣医師の野澤 延行さん。
東京都西日暮里の動物・野澤クリニックの院長先生です。
動物病院で診察だけではなく、野良猫問題や講演活動などにも精力的に携わっておられます。
2つのキーワードで猫を支える
【猫のための家庭の医学】は大きく分けて、生活編と健康編の2つから構成されており、さらにそのなかでPart分けされています。
Ⅰ生活編 ねこはときめく
Part1 食のケア
Part2 こころのケア
Part3 必要な遊びと運動
Part4 快適な住まい作り
Part5 安全・安心に暮らす
Part6 美しさを保つ
Ⅱ健康編 またたびにこい
Part1 健康管理と病気の予防
Part2 見た目の様子をチェック
Part3 行動としぐさをチェック
Part4 排泄をチェック
Part5 高齢期のケア~健康長寿のために~
猫のための家庭の医学
Ⅰ生活編 ねこはときめく
生活編Part1 食のケア
生活編Part1は、猫の食事に関する章です。
飼い主さん的にはやはり食事が一番気になる項目ではないでしょうか。
猫のためのフードも日進月歩でどんどん新しいものが出ていますが、愛猫にあったものを選ぶためにしっかりと読みたいものです。
全部で9つのトピックスとなっていますが、概要としては以下のようになっております。
・猫の味覚、嗅覚
・キャットフードの区分、特徴、保存法
・注意したい食べ物
・食べ方のいろいろ
・子猫期の食事
個人的に興味深かったのは、『こんな食べ方でごめんね』という猫のいろいろな食べ方のクセについて解説したページ。
イラストと猫のセリフが私のツボです。
我が家の白猫ルーニー氏はチョイ残しタイプの典型。
一方のポポさんは丸飲みタイプ。
同じ食器を使っていても、個性があるのだから猫って本当に面白いですね。
生活編Part2 こころのケア
生活編Part3 必要な遊びと運動
生活編Part3で扱われるのは、遊びと運動。
猫は犬と違い散歩をさせなくて楽というのは確かですが、けれど遊びや運動をしなくていいというわけではありません。
彼らにとっては遊びは狩猟欲求を満たすために欠かせないものであり、精神衛生を保ち、肉体的な健康を保つためには必須なのです。
この章では、
・遊びや運動の必要性
・遊ぶときのタイミングやコツ
などについて解説されています。
生活編Part4 快適な住まい作り
生活編Part5 安全・安心に暮らす
生活編Part5は、安全・安心という視点から猫の生活を考える章です。
外で暮らす猫たちに比べると家のなかは安全そうではありますが、思わぬものが猫の安全を脅かすことがあります。
この章では、
・猫がうっかり食べてしまいがちな危険なもの
・冷暖房器具の扱い
・応急処置
・猫が逃げた時の対処法
・防災
がそれぞれ説明されています。
猫は犬と違って高い場所まで登れるので、人が何気なく置いてしまったものも容易に発見し、遊んだり、口にしたりします。
ですから、猫が誤飲・誤食してはいけないもののページはしっかりと読んで、今一度気を引き締めたいところです。
生活編Part6 美しさを保つ
生活編Part5は、猫のボディケアについての章です。
日常のブラッシングケアの仕方、シャンプーについて説明されています。
Ⅱ健康編 またたびにこい
健康編Part1 健康管理と病気の予防
健康編Part1のテーマは健康管理と病気の予防。
この章では、
・健康診断
・ワクチン
・家庭でもできる健康チェック
・猫に多い病気
・薬のあげ方
・療法食
などが取り上げられています。
どれも飼い主さんとしては気になる項目ではないでしょうか。
個人的には、薬のあげ方については文章だけではなく、写真かイラストで解説があればさらによかったかなと思いました。
文章を読んでイメージがしづらい場合には、インターネットで動画を探してみるといいかもしれないですね。
健康編Part2 見た目の様子をチェック
生活編Part3 行動としぐさをチェック
健康編Part3は、Part2に引き続き猫の異常サインについてですが、今度は行動やしぐさがテーマとなります。
この章では、嘔吐、食欲、睡眠、呼吸、夜鳴きなどが扱われています。
異常か異常ではないのかを見極めるというのは難しいものですが、この章では見極めるためのポイントがたくさん書かれていますので、猫の行動で不安になったときには参考になるのではないでしょうか。
健康編Part4 排泄をチェック
健康編Part5 高齢期のケア~健康長寿のために~
健康編Part5は、猫が高齢期になったら気をつけたいことについての章。
・加齢に伴う行動の変化
・フードの選び方
・住環境
などについて説明されています。
猫が外で暮らすのが主流だったころと比べ、室内飼育が推奨される現在は、猫の寿命が大幅に伸びています。
大切な愛猫が健康で長生きし、飼い主とともに楽しいときを過ごせるように、シニア期に入る前には一読されることをおすすめします。
おすすめポイント① わかりやすい標語
【猫のための家庭の医学】のポイントは、なんといっても標語。
猫の健康寿命をのばすための標語「ねこはときめく」と、病気の予防と早期発見のための標語「またたびにこい」。
すでにご紹介しましたが、どちらもほんわかしカワイイ言葉ながら、重要な意味を持った標語なのです。
健康管理というのは言うは易く行うは難しで、飼い主さんが日々意識意識するというのは案外難しいため、著者の野澤先生は標語のページをコピーして壁に貼り、いつでも見られるようにしておくことを推奨しています。
確かに、冷蔵庫の横とかトイレのなかとかよく目にするところに標語を張っておいて、毎日目に入るようにすれば意識が高まっていいですね。
イラストはJunichi Katoさんが担当されているのですが、どのイラストも水彩画風の淡い色合いで、どこか懐かしく感じるようなレトロっぽい雰囲気。
標語のイラストもとってもかわいいので、貼っておいて眺めるのにもいい感じです。
おすすめポイント② コンパクトながら内容充実
一つ一つのトピックは見開き2ページ、もしくは1ページに収まっています。
このようなスタイルならば、読書をするのにまとまった時間をとるのがきびしいという人であっても、少しずつ読み進めることができると思います。
ほかのペットの関連の本と比較するとやや文字が小さい印象ですが、、内容をぎゅっと詰め込んでいるため致し方ないというところでしょうか。
余談ですが、【猫のための家庭の医学】には、ナビゲーターとして「ねこちゃん」と「ねこ先生」というキャラクターが登場するのですが、「ねこ先生」のちょっと毒舌な感じが個人的には好きです。
特に「ねこ先生のお悩み相談室」というコーナーではその魅力が炸裂していて、くすっと笑えますよ。
まとめ
【猫のための家庭の医学】は、猫との暮らしに身近に寄り添う猫フレンドリーな健康書です。
どのページもイラストだけではなく、ほぼ日が運営するアプリ「ドコノコ」に投稿された表情豊かな猫さんたちがいっぱいなので、そちらを眺めるだけでも十分に楽しめると思います。
ご興味があれば、お手に取ってみてはいかがでしょうか。