
我が家には、猫が2匹います。
猫の姿を見かければ、つい呼びかけたり、話しかけたりしてしまいます。
動物好きな方なら当たり前のように思える行動ですが、なぜ人は動物に話しかけるのでしょうか?
目次
動物に話しかけてしまうワケ
コミュニケーションという視点で理由を考えてみると、その答えは動物が自然と『 傾聴 』を行っているからだといえそうです。
『 傾聴 』という言葉をご存じない方もいらっしゃると思いますが、『 けいちょう 』 と読みます。
簡単にいうと、相手の話をそのまま受け止めながら聴くことです。
なんだ簡単じゃないかと思いがちですが、『 そのまま受け止める 』 ということは案外難しいのです。
日常の会話だと、相手の話に自分の考えや意見を言ってみたり、質問をはさんだりというのがほとんどではないですか?
良かれと思ってアドバイスをしたはずなのに、なぜか相手は不機嫌になってしまった・・・、なんて苦い経験が私にもあります。
自分としては相手の話をよく聞いていたつもりでも、これでは傾聴とは呼べないのです。
では、傾聴とは何なのか。傾聴では、聞き手に必要な3つの要件があります。
ちょっと難しいのですが、せっかくなのでご紹介しましょう。
①自己一致(一致)
誠実で正直であること。カウンセラー(聞き手)がうわべを飾ったり、見せかけの態度ではなく、ありのままの自分であるとき、クライエン(話し手)との真の援助関係が成り立つ。一致とは、こころに感じたことと言動にずれがないことである。
②無条件の肯定的配慮(受容的態度)
相手をそのまま受け入れること。どんな相手であっても、あるいはその人の考え方や行動が容認できなくても、(その人の存在そのものを)選択したり、評価することなく、すべて受け入れる受容という態度の奥には、話し手を一個の人間として、こころから大切にし、尊重するという人間観がある。
③共感的理解(共感)
相手の見方、感じ方、考え方を、その人の身になり立場に立って、見たり、感じたり、考えたりすること。それはロジャーズ(臨床心理学者)によれば、「話し手の私的な世界を、あたかも自分自身のものであるかのように感じる」ことである。「あたかも」というように、話し手の世界に入り込み、本人と同じように感じ取りながらも、聞き手は決して怒りや混乱などに巻き込まれず、平静で客観的でなくてはならない。
さて、動物はどうでしょう。意外とこの条件をクリアしていると思いませんか?
ありのままの姿で、話し手のことを評価することなく、ただ黙って受け入れる。
共感してくれているかは不明ですが、時折目をつぶったり、耳をピクリと動かしたりという仕草は「聴いているよ。解っているよ」という安心感を与えてくれる気がします。
動物の傾聴に癒される
ところで、傾聴の効果ってどんなものなのでしょうか?大きく、5つの効果があるとされています。
①信頼関係(ラポールの形成)
②カタルシス効果
③自己受容の促進
④自己理解が進む
⑤自己変容への展開
難しい単語が並んでいますが、話をよく聴いてもらうと、聞いてくれる人に対して信頼感や安心を感じ、胸のうちに溜まっていたものを吐き出せてスッキリした経験があるのではないでしょうか。
また話をしているうちに、客観的に自分のことを見つめることができ、新たな気づきが生まれ、見方が変わることで問題が解決することもありますよね。
動物に話しかけ、動物が傾聴してくれることで、まさに私たちはこのようなことを知らず知らずのうちに経験しているといえるでしょう。
日頃のちょっとしたグチや不満、悩みも動物は意見することなく、静かに聴いてくれます。
他人には言えない話をこっそりと動物に話す、というのは究極のストレス発散かもしれないですね。
秘密厳守ですから、安心です。
我が家専属の偉大なカウンセラーを大事にしたいと思います。